外壁塗装が3回塗りの理由

この間、このような質問をいただきました。

 

「外壁ってなんで3回塗るの?」

 

この質問て意外と少ないのですが、きちんと理由があります。

塗装に必要なのは回数ではなく、、、

まず3回塗りの内訳を見てみましょう。

 

一般的な塗装の段階は「下塗り」「中塗り」「上塗り」の3回塗りです。

 

このうち「下塗り」は下塗り専用の材料を使用します。

 

「既存の外壁」と「中塗り、上塗り」の密着を良くしたり、吸い込み止めの役割、金属の場合は錆止めの役割などがあります。

 

仮に「下塗り」を行わないと、剥離しやすく、また「中塗り、上塗り」を壁がどんどん吸い込みます。

 

吸い込みが多いと、仕上りがムラだらけになったり、必要な厚みが付かず求められる耐候性がありません。

 

なので「下塗り」が必要です。

 

で、「中塗り」「上塗り」ですが、そもそもこの二つは、一部の例外を除き、同じ塗料を使用することがほとんどです。

 

ではなぜ2回同じ塗料を塗るのか。

 

先ほど言った「必要な厚み」のためです。

 

そもそもで塗装をしてなぜ外装が守られるかというと、塗料が塗膜となり紫外線などを外装材から遮断することで、躯体そのものが傷みにくくなります。

 

その塗膜の厚みがある程度必要となりますが、薄すぎると紫外線による塗膜の劣化が進んだ時に、躯体まで届く年月が早くなります。つまり耐候性が想定よりないことになります。

 

では厚く付ければいいではないかというとそうでもありません。

 

厚く付けすぎることを「過膜厚」といいます。

 

これにより塗膜が割れをおこしたりします。すると、そこから雨水や紫外線が躯体まで侵入し傷みの原因となります。

 

つまり「適性膜厚」が求められ、それを実現するのに「3回塗り」が適しているということです。

 

塗料の説明書などを見ると1回ごとの「膜厚」や「塗布量」が記載されています。

 

これを参考にするととても分かりやすいです。

 

「下塗りしたら1回で適性膜厚をつければいいじゃないか」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは難しいです。

 

実際に塗装してみるとわかるのですが、少し勾配があるだけでどんどん下へ垂れていきます。つまり塗料って厚塗りすることが出来ないんです。

 

なので、数回に分けて適性膜厚にするわけです。

2回塗りや4回塗りの材料もある

「密着」「吸い込み止め」「適性膜厚」などが重要ということがご理解いただけたと思います。

 

そこまで言ってですが、2回塗りの材料もあります。

 

例えば関西ペイントの「パワーMレタン」などです。

 

これは鉄部などに塗れる塗料なのですが、錆止め機能を有した上塗り材のため、これを2回塗りするのが基本の塗料です。

 

一方、フッソ系の塗料などでは、金属に塗る場合、4回塗りの場合があります。

 

これも理由は必要な膜厚を付けるためで、下塗りの錆止めを2回塗りし、中塗り、上塗りと工程をふみます。

たくさん塗れば良いわけではない

4回塗り、5回塗りなどという話があったなどと聞くことがあります。

 

確かにこれだけの回数を塗らなければならいない仕様の塗料もあります。

 

しかし、本来3回塗りで機能を発揮する塗料を4回5回と塗ることは意味が違います。

 

考えられるのは「過膜厚」か「薄塗りで5回塗って適性膜厚にした」のどちらかになると思います。

 

前者であれば割れの原因になりますし、後者であれば不必要な手間を余計にかけただけでコストの無駄です。

見るべきは適性な塗装仕様なのか

長々と書いてしまいましたが、見るべきは「適性」なのかということです。

 

回数が少ない場合は「下塗りを抜いていないか?」「必要な膜厚を確保できるのか?」を気にし、

 

回数が多い場合は「余計な手間をかけてコストをあげていないか?」「過膜厚ではなか?」などを気にする必要が出てきます。

 

3回塗りがすべてではないです。

 

なぜ「〇回塗り」なのか?

 

を気にして聞いてみてください。